【残り時間 8分21秒】
制限時間が8分21から減り出し、まるで私を急かすかのようにピッピッピという電子音が部屋中に響く。
何かがおかしいと本能的に悟り、空気の変化と肌寒い悪寒に…嫌な汗が出た。
だって、私の視線の先には…ぐったりとお腹を抱えて…浅く息を繰り返すキャロルさんの姿。
白いマタニティードレスの腹部から、ジワリジワリと…赤い染みが浮き出てくる。
「…が…い、お願い…アリ、ス…ちゃ…この子…の、顔…見せてッ…!」
『当方で男女の確認はしておりませんでしたので。私共もまさか回答を“確認”せず提示する思っておりませんでした!ですので、回答は回答者【アリス】が確認する以外方法は無いのです!時間が迫っています!はやぁく腹ン中身を引きずり出せよぉおッお前には汚ッたねぇ汚れ役がピッタリなんだよぉお…?ほら、ほらほらほらほらほらほら!!!!ひゃははっあはははははははははは!!!』
「…して、どうして!!あ、なたの目的は一体何!?私の事が憎いならさっさと殺せばいいじゃない!!なのに、どうして、どう…ッ…あ、何を…嗚呼ッ!やめてキャロルさん…ッ貴方は、巻き込まれただけなの、私が悪いんです!!ごめんなさい、ごめんなさいッ!!もう許してお願い、お願いします、救急車に連絡を…ッ早く…!」
『――雲の無い満月の夜に神は地上に降り、奉納品を受け取ると言われていた。神の姿を目にしてしまえば、村に災いが起こると固く禁じられていた。しかし水を捧げた一人の少年が不審に思い神の姿を一目見ようと祭壇に訪れる』
長い長い子守唄は、まるで私をあやす様にか細く続けられていた。
私は床を真っ赤に濡らす血液をどうにか止めようと、必死にお腹に抱きついた。
キャロルさんは子供を慰めるように歌い、錆びついたカッターを私に手渡す。
首を横に何度も振るが、キャロルさんは狂った世界の中で、困ったように笑う。
そして、歯を食いしばり、自らの腹部に限界まで伸ばしたソレを突き立てた。
