「シャーナス将軍!大丈夫ですか!?嗚呼、酷い顔色…ッ救護班!今すぐ来てください!将軍が大変ですわッ!」
「…うるさい…静かにしてくれ、リゼル…あまり大事にするな、頼むから…ッ」
「で、ですが…ッこんなに顔色が悪くて呼吸も不安定だし…ッそれに――」
「なら…良くなるまで膝枕でもしてもらおうか。…嫌なら呼ぶな、いいから放っておいてくれ。…ユーリ、頼む」
ユーリウスに騒ぐリゼルを落ち付かせ、人気のない所に姿を消そうと体に鞭を打つ。
走り書きのメモがぐしゃりと手の平で音を立てるが、そんなことにも構わずに部下を軽くあしらっていく。
私の為に用意された仮眠用の車に乗り込み、ソファーにうな垂れて瞼を閉じた。
設置されているモニターには、妊婦に甘えるアリスの姿が映されていた。
――遠回りをするな、直接的な確認作業をしろ…それで君が助かるなら、私はどんな結果になっても軽蔑しない…ッ!
妊婦の腹部に上半身を預け、眠るように髪を撫でられているアリス。
床に撒き散らされたカッターを手に取るわけでもなく、他人に判断を任せて俯いていた。
友達と称する人間に答えを探させ、自らは安全にその責務から逃れている。
テロリストはアリスが奇跡的に正解し、全員を救うという結果など…望んでいるわけがない。
――外部に助けを求めた事がテロリスト側に知られている今、君のやることは一つだけだろう…ッ。
アリスがあからさまにカメラに向かって言ったメッセージには、部外者の私でも簡単に気づいた。
何か策があるのかと注意深く伺うが、他人任せで自ら策を講じても無い。
全ての事柄には何らかの法則が存在し、【回答者】である君が証明の作業を怠ることなどあってはならないことだ。
インカムにアリスの携帯に繋がる番号を入力し、いつでも接続できるように準備した。
