独:Der Alte würfelt nicht.



「――先ほどから…この会話を盗聴されているのだが…そろそろ手を打った方がいいのか?知識の無い人間に紅茶の水質の話を続けてもな…」

「シャーナス将軍、気付いていらっしゃるならむやみに状況を口に出さないでください。軍の情報管理能力が問われます。どうされますか、逆探知で場所は特定しています。後でインカムの回収、厳重注意をいたします。流出先の特定と…」

「繋げてくれ。接続してきている端末の番号は分かっているのだろう。私のインカムを特定し接続するなど、常人には出来る事ではないからな。是非、歓迎してやらねば。話をしてみたい、この状況を打破することも十分にあり得るからな」

「…分かりました。ではこちらからIDを承認いたします。会話はシャーナス将軍のもので出来るように設定いたしました。接続者は…ID:R2477KAB723…ルカ・ベルチットのようです」


通常なら内側にしまいこんであるマイクを、手前に引き出し口元に高さを合わせた。

インカムの接続先では、盗聴者達が急な乱入に混乱するような声が聞こえる。

感度を自動的に修正してくれるため、音声のブレなどは減って来た。

一度咳払いをした後、接続先のお嬢さんに向かって敬意を払って挨拶する。


「はじめまして、お嬢さん。私は国軍准将レイ・シャーナスだ。度重なる不正アクセスの上に、わざわざ軍の回線を盗聴するなど…いけない子だ。それで、欲しい情報は何だ?私が直々に話してやろう」

『…シャーナスの人間が軍に飼い慣らされてるなんて…落ちたものね。そうでもしないと、シャーナス家の繁栄を保てないの?』

「おっと、手厳しいお嬢さんだ。さすが富豪相手に廃棄処分品をカスタムして破格の値段で商品を売り付ける事はあるな。肝が据わっている、気に言ったよ、ルカ・ベルチット」

『能書きはいいの。正解は何?男の子か、女の子か。貴方の返答次第によって、アリスが出す答えになる。調べてあるんでしょう?こっちはやる事山積みなんだから早くしてよね』