「嘘だったのよ!姫ィさまは嘘をついていた!だから、私に姫ィさまのことをもっと教えてよ!名前は?年齢は?他に知ってる事は全部教えてよ!」
「…くそぉ…ライラが…死んでるなんてっ!あンの糞女…ッ俺達の事騙しやがって!!ただでは済まない!!全部ばらしてやる!!俺の命がどうなったって構うもんか!!」
「私が貴方を救うわ!この学園から無事に出してあげる。貴方を飼いならした姫ィさまは誰!?私の知っている人なの!?教えて、私が貴方を自由にしてあげるッ!」
「助けてくれよ、俺以外の奴らも…皆きっと騙されてるんだ。ノエルって奴も…きっと、あんたに会う前に焼かれて殺されちまう…糞…みんなマークの恩恵に肖ろうなんて…馬鹿な考えだった」
――マークの恩恵って…まさか、四大名家の人間が絡んでいるってことなの!?
「どのマーク!?スペード、ハート、ダイヤ、クローバー…誰が、誰がこんな事を――ッ!!」
「マークはわからない。他の奴らが言ってただけだから…。でも…姫ィさまの名前なら…ずっと耳に焼きついてる。使用人が謝って呼んで、吐くほど蹴られてたから…ッ」
「誰なの!?こんな馬鹿げたテロリズムを起こした人間は一体――ッ」
「姫ィさまの名前は…花…花籠…ッ――」
「――アリス、助けに来たわよ!!まったく、離れなさいこの蛆虫ィ!!」
和を感じる椿の香りに気を取られ、振り返るのが遅くなったことが運の尽きだっただろう。
男の低いうめき声と共に、大きな体が私に覆いかぶさって来る。
廊下の壁に掛けてあったうん百万もする絵画を額ごとかかえた彼女。
白い肌を真っ赤に染めながら息を切らした姿、乱暴に絵画を床に投げ捨てる。
額縁の一部が割れた音など気にも止めず、彼女は茫然として立ち上がる事の出来ない私に手を伸ばす。
