――…ノエルか…うぅん、思い出せない。
話だけ聞けば、パンドラの一部のシステムをダウンさせた時に何か起こったようではない。
私が黒羊と呼ばれる状態にあった時、彼女に何かしたのだろうか。
カノン君の話によれば、私の記憶を司る脳の機能は無く、代わりの小型機器が埋め込まれているらしい。
それをパンドラのシステムに転送し…処理、記憶しているという話だ。
その期間内の記憶が削除された可能性もあるだろう。
「姫ィさまはどんな人なの?顔は、髪の色は…年齢は幾つ位?他に何か言ってなかった?」
「目は…濃い青。髪は黒くて…綺麗な、キラキラした服いつも着てるんだよ。見たこと無い不思議な服と…変な傘。いい香りがしたんだよ…」
「その人が…学園を占拠したテロリストの主犯格。そして、貴方の妹を殺した張本人…!!」
「違うッライラは生きてる!!どうしてお前にそんな事が分かるんだよ!!」
私はオリヴァーに自分で作り上げたニュース情報を見せ、さも事実として突き付ける。
そこに書かれているのは“ID不所持の少女変死か?”という見出しのニュース。
某日、ライラ・レイトンと名乗る少女を飲食店傍のごみ置き場で発見。
衣服の乱れは無く、体にも外傷らしきものが無く変死体として保護。
しかし同日、病院で息を引き取った、周りに証拠らしきものは無く、警察は捜査を続けている――。
あまりに簡潔に書きすぎたかな、とは思ったが…オリヴァーの方は信じ込んでいるらしい。
可哀そうだとは思ったが、此処で身を引いてもらう事は私の為にも彼の為にもなる。
