「オリヴァー・レイトンよね。貴方、どうしてこんなテロリズムに加担しているの。崇拝するボスでもいるのかしら?それとも何か弱みでも…」
「…話せない誓約なんだ。どこで聞かれているか――」
「雇われているの?無謀だわ、テロリズムなんて殲滅対象だもの。もしかして自殺願望者だったり…」
「違う…!俺は――!!う、何でもない。言えないんだ、言ったらお仕舞なんだ。俺が命をかける意味も無くなる…」
ガリガリにやせ細った体を捩って拘束から逃れようとしているのが分かる。
私は彼の両手首を新しいひもで縛り、足首も同じように拘束した。
始めに彼に施した海老責め縛りは全身の血液が停滞し、放っておけば死んでしまう。
さすがにこれ以上罪は重ねたくないので、ハサミで海老責め縛りにしていた場所だけを切ってあげた。
「ふむ、妹さんが病気でそれを治してあげるからーなんて言われたのかしら。胸ポケットに入っていたのはその下書き?随分お粗末なものだったみたいだけれど」
「ち、違う!これは正式な誓約書だ!!これを持っていれば絶対約束は破られないって…ッ!!」
「貴方、もしかして国に管理されていないID不所持者?貴方のIDを読み込ませようとしたのに、何度も失敗したの。そんな人がどれだけちゃんとした誓約書を持っていたとしても…しらばっくれられたらおしまいだわ。それにこの誓約書も…必要なものが足りないし、無効ね」
「――ッそんな!確かに俺はIDも持ってないし、学も無い…でも、姫ィさんは…俺の妹を病気から救ってくれるって!誓約書も書いてくれて…!!」
姫ィさんって人が…お粗末な誓約書を書き、命を賭けさせて最期に裏切るつもりでいるのだろうか。
ID不所持とは国に管理されることのない人間のこと。
生まれた子供の親が国に出生届を提出しなかった場合、IDは発行されないのだ。
きっと彼もその口で、IDを持っていない事で社会的に地位の低い存在として扱われているのだろう。
IDが無いという事は身分が証明されない事と同じ事で、職に就くことも難しい。
ましてや病気になって病院に通院するとなると、莫大なお金が必要になる。
不憫に思い、彼の拘束をほどいて、一応護身用にと銃の安全装置を外した。
