「何処からの発砲だ。音で場所は割り出せたか?」
「3棟の2階…B-201号室周辺からの模様です。被害者の確認はまだとれていません」
「――そうか。3棟B列の教室ならば問題は無い。また一時間猶予が出来てよかったな」
「はい。3棟B列には要人の親族は居ません。被害者の確認を続けます。――ん…これは…」
ユーリが手首に付けられている小型端末を起動させ、スクリーンを表示させた。
軍仕給の物で、ノート端末を小型化して持ち運びを便利にしたもの。
他にも軍回線を直接使用できるインカム等、挙げていくときりがない。
身の回りの物が電子化されていく中で、手作業でする物など無いに等しい。
「以前のデータなのですが。研修終了は3週間後にも関わらず――終了時の1週間前に研修を終了させている生徒がいます。研修期日前に終わった生徒は自宅待機のはずですが…」
「…誰だ」
「…アリス・ブランシュという生徒ですが」
「――…その子は無関係だ。それに今年中には姓が変わる予定だ。式場の予約もしてあるし…きっと彼女なら湿っぽい6月は“良い顔をして”喜んでくれそうだ。ウェディングドレスも顔が歪むほど嫌がりそうなふりっふりぴらっぴらをオーダーして――」
「…リゼルとではないのですか?何と申しますか…嫌い嫌いも好きのうち?と言うやつでは――」
「はぁ…私にそんな趣味は無い。嫌いなものは嫌いだ」
私がリゼルに構ってやるのは、一応ウィッタード家のご令嬢だと言う事だけ。
さっさとウィリアムとの子宝が恵まれて、育児休暇でも取ってほしいぐらいだ。
好きな物なら嫌がる位にドロドロに甘やかして、骨の髄まで可愛がってやりたい。
冷えた紅茶で喉を潤わせながら、先ほど銃声のした学園を下から仰ぎ見た。
