「――さて、どうするか」
個人的にはアリスさえ助かれば問題なしだが、要人の跡継ぎ達を預かっているのでそちらの方も気に掛けないといけない。
もしも傷でも付けて返したとなら…軍の責任問題に発展する可能性がある。
そうならないように学園には常に軍人を待機させていたのが、実際役に立たなかった。
管轄は私ではないが…嫌味の一つでも言っておかないと気が済まない。
「シャーナス将軍さま!!」
「…うるさい、私は頭痛持ちだから余り騒がしくするなといつも言っているだろう…。どうした、妊娠でもしたか」
「乙女のパンチは、痛いですわよ…ッ」
「いでで…ったく。上司をそんな凶器で殴るとは…どうかしてる」
「はぁ…はぁッ…!善人ならば痛くはないはずですわ!痛いと感じたのは貴方の心が汚れているからだと思いますのよ!!」
「…言ったな。いいだろう、今日こそ軍服ひん剥いてアマゾン川に捨てて来てやる…!」
リゼルの拳が私の右頬を深く抉り、体が衝撃の方向に傾いた。
銀色に光るメリケンサックが指にはめられ、次の攻撃を与えようと体勢を整えていた。
チェス駒を数本指にはさみ、ナイフのように彼女に向かって構える。
リゼルの拳が振り上げられ、メリケンサックが太陽の光で反射した。
――パンッ!
緊張の糸をかき切るような銃声が、雨上がりの空に響き渡る。
その音にハッとし、学園の方へ眼を向けた。
発砲したと思われる人間の姿はとらえられない。
時計を確認すると、犯行予告のあった1時間きっかりに銃声がなっていることに気づく。
