「…ユーリ、現状報告を」
「はい。現在、二人以上のテロリストが占拠。学園内には約3000人の学生、及び教員100人、その他の外来者200人。テロリスト側の要望は金銭目的ではなく『元天才科学者を連れて来い』の一点張りです」
「…まったく。私の方が彼女に会いたいと言うのに…」
「ハッキングや隠蔽の痕跡はありませんでした。人数は確かです。ゲートに取り付けられている多人数認証システムの詳細です。読まれますか?」
学園前に設置されているゲートには、生徒の出席を確認する装置がつけられているらしい。
学生証か何かにチップを入れ込み、ゲートをくぐるだけで認識されるというもの。
各教室の個室に入る際に自分のIDを認証させる事によって、出席を取っている。
顔認識は外来用で、個人のIDや利用目的を通さないと学園に入る許可が下りないらしい。
「…さすがに漏れは無いだろうが。ブランシュ家はそんな大掛かりな物に資金を投じてたのか。まだ軍に設置されていないのに…。外部から侵入は出来ないのか?」
「ゲートを通る以外に学園に入る方法は無いでしょう。避難用の通路も存在しますが、使用した形跡はありません」
「そうか。でもこのご時世、そういうシステムを弄れちゃう悪い子がいるのも確かだな。その手のプロがテロリストの中に居ると…非常に厄介だ」
「不正アクセスは重罪です。もう二度と電子機器に触れることは許されない。パンドラに異常をきたす物ならば…死刑です」
ユーリが敬礼をし、周りの部下に指示を出すのを横目で見る。
ウィリアムとは違い、親の後ろ盾がない上での中尉の地位はユーリウスの有能さだろう。
甘ちゃんウィリアムの100倍は使い物になる。
こんな状況の中で邪魔なのは、正義主義者を気取った馬鹿。
ストークスの恩恵に肖りたいと思って受け入れたが、今となっては言いお荷物を引きうけてしまったと後悔している。
