『面倒なこと全て私に任せて、君は紅茶でも飲んでいればいい』
彼に言われた言葉を思い起こせば、同時にフラッシュバックする過去の記憶。
システムダウンの後、誰にも迷惑がかからないようにIDを削除し、研究チームに居たときの私の情報も全て改竄した。
全ての責任が、自分の身だけで済むように願いながら…自首することもできずに床に蹲って膝を抱えていた私。
そんな私を迎えに来たレイは部屋の扉を薙ぎ倒し、太陽の光を体中に纏って私に手を差し伸べてくれたのだ。
「“マーク”と言えば…スペード、ハート、ダイヤに…貴方のクローバーね。政権を保持するスペードのハーグリーヴス家、軍を統括するハートのストークス家。そして私の…ダイヤのブランシュ家。そしてクローバーは…貴方のシャーナス家ね」
「その面々が連ねて、君を獲得しようと目論んでくる。逆ハーレムでウハウハとか想像するなよ」
「…目敏いと、モテないわよ」
「モテたい相手にだけ好かれれば問題ない。気が利く男は、昔から好まれるものだとは思うが」
レイの言葉通り、その光景を脳内で想像してしまい、クラリと恍惚の眩暈を起こしてしまった。
大四名家とは、パンドラ建国時から成る古く伝統のある家である。
その中でも歴史の浅いシャーナス家はハーグリーヴス家と縁浅からぬ関係であった。
レイはシャーナス家の跡継ぎでありはするが、現実では軍に所属している。
私の学園もブランシュ家が財源を提供しているが、軍への人材育成のために設立されていると言われていた。
その中にも年齢層が疎らなエリートコースは、一度に2,3人ほどの人間しか受け入れをしていない。
