「どうであろう上層部は結果を早急に求めているからな。本来警察の仕事だが、軍の介入が必要だと判断された。まぁ事情が事情だからな…」
「ならローズが関係ないと分かれば手を引くんだな?」
「軍も関係の無い人間にかまってるほど時間も経費も労力もない。そう判断されたら、お前の好きにしろ。引き取るにしろ、施設に入れるにしろだ」
「…分かった。そう言う事なら俺もお前に文句なんて――」
「着いたぞ」
そんなに頻繁に来る事の無い医療施設。
銀色のリングが宙に浮かび、人工太陽の光を反射して周りを照らしている。
いつ見ても非現実的な作りの建物は、近づく物を拒むような威圧感を放つ。
ローズを後部座席から下し、ふら付く体を支えた。
「輪っかがくるくるしてるのですね。ローズは目が回ってしまうのです」
「あまり見ると目が痛くなるぞ?ほら、こっちだ」
「目がちかちかするのですよ。ん…ウィル、一人で歩けるのです。ローズは子供じゃないのです、手を繋がなくても平気なのですよ?」
「目を離すとすぐ転ぶからな。それに…悪い、そんな靴を用意してしまって。考えなしだったよ。可愛いからって機能性を重視してなかった」
ローズの小さな手のひらを握り締めれば、まるで兄妹みたいだな、とシャーナス将軍が笑った。
病院の精神科は敷地内にあるが、一番遠くにひっそりと隠されるように存在している。
精神科にはいった事がなかった俺でも、この建物の雰囲気の異常さにはついて早々気付いた。
シャーナス将軍が手続きをしてくるといい、取り残された俺とローズは待合室で座っていた。
