「そいつを第550Z43AE6号の事件の最重要参考人として書類送検しに来た」
「は、…はぁあ!?待てよ、そんなはず――…」
「現場にはべったりとこの子の指紋が検出されたんだ、仕方が無いだろ」
「ッ…それだけで…」
シャーナス将軍は二本のスティック状の映像表示媒体を取り出し、それを両手で広げて俺の前に広げた。
本来テーブルを彩るはずの、花の活けられた花瓶が無残に砕け散っている。
テーブルクロスに染みる赤い液体、何重にも積み重なった人の姿。
その表情は地獄の業火に焼かれたような、尋常ではない表情で息絶えている。
「…これが、ローズに何の関係が――」
「ここに居る人間…いや、居るはずの人間すべてが死んでいる。アンネローゼを除いて、だが」
「そ、んなの!一人だけ助かったんだろ!?ローズは体が小さいから、見つからない場所にずっと隠れていたとか…」
「ウィルスでもない、中毒でもない。電子機器が“偶然”、電磁波を出して脳味噌を煮え焼けにしたんだ。この子以外な」
そんなことあるわけないのに、俺はこの悶絶した表情を見て信じるほかなかった。
電子レンジに人間を入れたようなものだと説明をするシャーナス将軍。
体中の水分が沸騰し、想像が出来ない劇痛を感じて絶命したのだろう。
未知の恐怖に体を震わせ、昨日出しきったはずの胃の内容物がせりあがってくる。
「でも不可解な事に、脳だけやられてるんだよ。体に外傷はない、この子の抱えていた奴を除けば…だが」
「その男身元は分かったのか!?」
「そうだなァ…それはお前の後ろに隠れてる奴に聞けばいいんじゃないのか?」
「…ローズは覚えてないんだよ。だから変に思い出させる必要はない…!!」
ローズを庇うとシャーナス将軍は肩で笑い、外に止めてある車に乗るように指示した。
最後まで警戒を解かないローズが気がかりだったが、俺たち二人は言葉に従い車に乗った。
