独:Der Alte würfelt nicht.

 
 
「これを手渡ししてほしいって言われたのです。ウィルにあげるのです」

「…ははは、VIP会員か。店のもの全部買うって電話しただけで…」

「お洋服がいっぱいなのです。ウィルはお着替えが好きなのですね。リボンがたくさんなのです。ウィルはお洒落さんなのですね」

「…俺に…これを…着ろと…?」


俺の脱力した顔を見て、ローズは心配そうな顔をして覗き込む。

お願いだから、そんな悲しそうな目で俺を見ないでくれ。

ローズは何を思ったのか、泣きそうな表情で俺に抱きついてくる。

構ってもらえなかったのが寂しかったのかは分からないが、ローズは俺から離れたくないとでも言うように、ぎゅうっと抱きついていた。

こんなことされたら、堪ったもんじゃない。


「あー…分かった、分かった。ごめん、怒ったんじゃない」

「ウィルー…おはよぉ…」

「…んー…おはよう…」

「ローズは…いつもウィルを怒らせてしまうのです…ごめんなさい…」


落ち込むローズを慰めるように、箱に入った洋服を一枚取り出す。

ピンク色のワンピースに、同系色の淡いフリルがあしらわれているものだ。

それをローズの体に当て、サイズが合っているかを確認する。

やはり見立て通りで、俺の行動を不思議そうな眼で見つめるローズ。