「――…ったく、引っかくなってあれほど…」
「うぅっ…ふえっ…うううっ…」
水を嫌がるローズの洗顔を半ば無理やり終わらせ、端末の前に座り込み、電源を入れた。
未だに不貞腐れてソファーに転がっているローズが気になるが、軍から何らかの通知が来ていないかとメールボックスを開いた。
新着メールあり、という文字を画面の上からタッチする。
手紙を兎が運び、便箋を破いてくれるという手の込んだアニメーションが流れた後、…中身が表示された。
発信者:レイ・シャーナス
子供の身元が分かった。少し込み入りそうだから直接そちらに向かう。
「…そんなに早く分からなくてもいいよな。もう少しかかればいいのに…」
「ウィル、朝に人が来たのです。そして…ウィリア…ん、ウィルにこれを渡して欲しいって言われたのです。ウィルは寝てるって言ったらこれを渡して欲しいって言われたのです。ローズは持てなかったので中に入れて貰ったのです」
「あ、ああ。来たのか。だから先に起きてたんだな。ありがとう、ローズ。助かったよ」
「…褒められたのです。嬉しいのです。ローズはウィルの役に立ててうれしいのです」
不貞腐れた時の顔とは打って変わった満面の笑みに、先ほどの惨劇を忘れそうになる。
手当たり次第に暴れたローズは、俺の腕に数ヵ所の爪痕を残した。
洗面所も水浸しで、片づける気力すらわかないほどの惨状になっている。
そんなことは心の隅に置き、届いた荷物を開ける。
