――――ガコンッ。



鈍い音と共に落ちてきたミルクティーをそっと取った。


ミルクティーから伝わる熱で手がジンジンと熱くなる。



家へ戻ろうと自販機に背を向けると一人の少女が自転車で私を抜かして行った。

あの頃の私はこんなキレイな夜空もキレイだと思えなかった。
もう戻れないあの時間。
消したくても消えない記憶。



吐き出された白い息を頬にかすりながら私は進む。



――――ただ前へと。