あたしは気がつくと先生の家の前にいた。
呼び鈴を押すと、先生はあわてたように出てきた。

「あれ?葵・・・」

先生は誰と間違ったのだろう。
あたしの訪問がとても意外だったようだ。

先生はあたしを家に上げてくれた。
誰だったんだろう?
来るはずの人は・・・

でも、家の様子は変わってなくて、
瑠菜はここに泊ってないようで、それだけで安心した。



「先生・・・。あたし、瑠菜がうらやましくて」
「ルナ?どうして?」


先生は麦茶を次ぎながら
あたしの話をやさしく聞いてくれた。


それはあたしの両親が離婚したときのやさしい口調と同じだった。




「だって、瑠菜はかわいくて、みんな振り向くほど・・・。双子の兄でさえも、見蕩れてるのがわかる」

「見た目?そんなものをうらやましがるなんて、葵も女の子なんだなぁ・・・」

「先生・・・。あたし、違うんです。瑠菜の見た目だけがうらやましいんじゃなくて・・・」


ヤバイ・・・
なきそう・・・。


あたしは必死に涙をこらえた。


「そういう顔、わたるの前でもすればルナなんて目じゃないんだけどなぁ・・・」


先生があたしの頬に触れた。

それ、
わたるが瑠菜にしてた。

そう思うと堰を切ったように涙が出てきた。


先生・・・。


あたし、やっぱり、
先生しかいないのかも。


ずるい瑠菜に嫉妬して
でも、本当はそうありたいってうらやましく思ってて

でも、できない。


あたしの気持ちを見抜いてる。


「せんせい・・・・あたし・・・・」



先生。

好き。

ダイスキ。


あたし、いつもそういいたくていえないでいる。


今日は、言ってもいいですか?


いつからあたしこんな大胆になったんだろう。

あたしは、制服のボタンに手をかけた。

「先生・・・、あたし・・・」

制服の上着を脱いでから、
ソファーに座る先生に思い切り抱きついた。


「葵・・・」