逃げていた私も
きっともう逃げられない
自分で逃げ道を
くずしてしまったから。


帰り道、
前にマサが居た。
となりに苺がいたけど
何を話してるかなんて
全然聞いてないし
目はマサのほうに
釘付け。

好きだからかなぁ…
ぼーっとしてしまう。

「マサっ!」
私は叫んでいた。
「ん?」
マサは振り返った。
「聞いてる?」
「聞いてるよ。」
そう言ってマサは微笑むけど
あいまいに笑ったようにしか
私には見えなかった。
「聞きたいことがあるんだけど。」
「え?聞こえないよ~。」
マサはそう言って
眉をひそめる。
「聞いてるでしょっ!」
「聞こえないって。」
「聞こえてるじゃん!」
「………」
黙ってマサは歩き出した。
泣いたふりして
おどけながら。
「マサぁ…」
呼んだけど
まだふざけてて聞いてない。
「ひどっ。」
「泣いちゃだめだよ?」
そう言って心配そうに
私を見てくる。
「泣いちゃうし。」
「泣き顔見る前に帰るよ。」
そう言って
悲しそうに微笑んで
マサは帰っていった。
私は本当に泣きそうだった。
私は未だに……
なんであんなことしか言えないの?


マサはあの時
微笑んでいたけど
なんでだろう
悲しそうに見えた。
マサは本当にあのとき
悲しかったのか…
私に聞く術はないけど
勇気があったら
いつか聞きたいな。
そしたらマサはまた
あいまいに微笑んで
覚えてないなぁって
きっと言うだろうね。
マサのあいまいな微笑が
ときどき私の胸を痛ませるのを
マサは知ってるだろうか。
















マサ、優しすぎるよ。