そのころの私の口癖は
『彼氏が欲しい』
でも本当は分かってた。
私のこと好きって言ってくれても
かっこよくても
笑顔が素敵でも
マサには敵わない。
マサ以上は無い。
彼氏が欲しいんじゃないんだ。
マサと恋したいんだ。
そう気付いたのは最近で
遅かった。
遅すぎた。

「幸せになってね。」
私はマサの腕に手を置いて
元気付けるように2回たたいた。

山之上さんと
またいい仲になってる事を
私は知ってた。
でもマサに言うと
すぐはぐらかすし。
正直に言ってくれないから
どうしたらいいかなって
一生懸命考えた。
出た答えは
「幸せになってね」って
マサに言う事だった。
マサは
「誰と?」
って聞いてきた。
教えてあげた。
「山之上さん。」
マサは笑って冗談にしようとした。
「まーたそんなこと言ってェ。」
私も笑って、冗談にした。

冗談にしないと
やりきれなかったんだ。