12月4日(火)。
いつものように昼休み、しゃべっていた時だった。
「してもいい?」私は聞いた。
「でもここじゃぁねェ。」彼が言った。
確かに。女子がそこら中でおしゃべりしてて、男子が走り回ってる学校の廊下じゃ、キスするなんて不可能。
「そうだね。」私は諦めた。
「いってらっしゃい。」彼は笑って手を振った。
「いってきます。」私も笑って手を振った。
次の授業は美術だったけど、全然集中してなくて、授業にならなかった。
6時間目は英語。もっと集中できなかった。
そのあとの部活は、記憶が無いくらいやばかった。
友達が話しかけても、まともに返事しなかったらしい。
やっと一緒に帰れる!
私は校舎を飛び出した。走って彼より先には校門に居た。
その日は彼氏も部活。剣道部ご一行様も一緒だった。
おもしろかったけど、楽しいんだけど・・・
私が隣に居るのに、マサは剣道の話ばっかりだった。
私は話題に入れなくて、ずっと黙ってた。
「どうしたの?辛い?」
マサは、私の具合が悪いと思って気を使って言ってくれたに違いない。
「大丈夫。」
私は強がって言った。
今は吐きそうではないけど、実はちょっと具合が優れない。
晩御飯も食べれるかギリギリだった。
「大丈夫だから。」
2回目でやっと納得してくれた。
「そう。具合悪かったら言ってね?」
優しい顔で優しい声で、マサは言った。
惚れ直しそうなぐらい素敵で、今は夜なのに、彼は王子様みたいにキラキラしてた。
私の経験上これは恋の魔法。
解けるのもきっと早いだろう。
一緒に居た友達はほっといて、2人でよく話す場所に向かった。