驚いたあまり俯いていた顔をハッと上げた。そこには千尋くんのニヤリとした顔があった。







「ななななな、なんで…」




なんで知ってんの!?




確かにさっき隼人とやりあっていたときにバランスを崩して足捻ったけども!


でもバレないようにちゃんと立って歩いてたつもりなのに。






「ちっちっちっ、あめぇなオジョーちゃん。この千尋くんの目は誤魔化せないぜ?」



「なにその探偵ちっくなセリフは」



「あれか?お決まりのセリフでもいってやろうか?」


「いやどうせ、見た目は子供頭脳は〜、っていうのが言いたいんでしょ?全力で遠慮させていただきます」




んだよ連れねーなあ〜、と言ってまたすたすたと歩き出し、チラリと千尋くんを見ればもうさっきまでの冷たい目はなかった。




きっと、わざとこの雰囲気に千尋くんが戻したんだと思う。








――優しいなあ、千尋くんは。





本当は腸煮えくり返るぐらい怒ってたはずなのに。







口には出さないけど、そんな千尋くんに感謝した。