さっきまでの騒がしい雰囲気から一変して何とも言えない空気が私と千尋くんとの間に漂っている。



いまだお姫様抱っこされていて降ろしてもらえそうにないし、私は千尋くんの腕の中で小さくなるしかなかった。







非常に気まずい…。



何も言えないっていうか、話しかける勇気がない。






やることもなくただぼーっと周りを見てみる。



ふと、隼人と慎一郎さんがいないことに気づいた。やけに静かだなと思ったら、私と千尋くんしかここにはもう居なかった。







しばしの沈黙が続くがなんとか勇気を出してみる。






「は、隼人と慎一郎さんいないね…」



顔は見れなくて視線を外しながら小さな声で千尋くんに聞く。



聞こえたかな…。









「あー、もう先に行ってんじゃねえか〜?」




き、聞こえたみたい。私のかけた声にいつも通りの声で答えてくれたことにホッとした。




「そっか…あ、も、もういいよ。歩けるし」



絶対重いはず、それにさっきからチラチラと下校する生徒に見られて恥ずかしいし…。





「あと少しだから我慢しろよ〜、…それにさっき捻ったろ、足」










――え…?