この街は東西南北と綺麗に分かれている。この辺一帯の頂点に立つのが、どうやら南に属する‘南校’らしい。




その中でもトップが日和くん。




あんな、ぼ〜っとしてるのにトップだったなんて…。大丈夫なのか?




私が言うことではないけどなんか心配だ。出会って初っぱなからあんな調子なんだもん。そりゃ疑うわさ。



しかし、彼らのおかげで最近はこのあたりは平和になっているらしい。








ま、今のところ情報はこれくらいだ。







「…リコちゃん?」



「へ?」





急に呼ばれて顔を上げれば、慎一郎さんが心配そうに運転しながらこっちをチラリと見ていた。





「なんかあったのか?ぼーっとして…」






どうやら、静かな私に何かあったのかと思ったらしい。ほんと、よく見てるよねえ慎一郎さんって。なかなか侮れない人だ。






「なんでもないよ。…今日は慎一郎さんがお迎えなの?」



「ああ、用事がない限り俺だよ。他のヤツが良かったか?」



「いやいや、慎一郎さんで良かったよ!ホントに真面目に!切実に!!」






あまりにも必死になって言うもんだから、慎一郎さんは苦笑していた。






ホントだって!慎一郎さんは優しくて紳士的だもん。




そう言葉には出さず心の中で叫んでおいた。もし隼人とか来たら戦争が始まりそうだ。





あー、昨日のこと思い出しただけであの金髪をむしりとってやりたいわ。





そうだ!

脳内シュミレーションは大事だぞ。そうだなあ、まずあのキラキラするほど眩しい金髪をむしりとって坊主にする。そのあと僧侶の格好にして寺に閉じ込めよう。そして数年後…一休さんに―――。





え?!
一休さん?!



どどどどどうしよう!!!





ぽくぽくぽく、ちーん





ああああ!!木魚叩いてるよ!「ぼたぼたぼた餅、食べたいなー」なんて言ってるよ!!