しかしなあ…。





涼兄に頼ってたから、はっきり言って対策という対策もないし、今さら考えても間に合いそうにない。現にもう慎一郎さんからメールきちゃったし。








でも、




“約束”までにはなんとかしなければ。







これだけは変えられない。昔からの約束だ。私が唯一父さんと交わした約束。





それまでには頑張りますかね。そう長くはならないだろう。









「リコちゃん」




慎一郎さんの笑顔が見れなくなるのは惜しいけど。可愛らしいえくぼがチャームポイントだ。





でも、会った時から思ってたけど、慎一郎さんって本当に不良?



だって、髪はスポーツマンっぽくて短いし。





それに彼から醸し出される雰囲気は不良というより優しい面倒見のいいお兄さんだ。むしろ先生か保父さんだ。あの不良軍団を一人で面倒見てるなんて感動しちゃうよ、っていうかもう凄いとしか言いようがない。






「ん?リコちゃんどうした?」




「ううん、何でもないよ」





いま、貴方を神様だと思ってたところです。






そんな私の思いは知らず、「そっか」と爽やかに微笑んで、私を後部座席に乗して、軽やかに車を発進させた。






そして、後から知ったんだけど。




あの不良軍団がいる南校へと向かったのだ。