大股で足を進め、ドタドタと廊下を走る。
もちろん行くところは決まっている。





もうまぢ今日、私の頭冴えてるんじゃない?!って言いたいほどピンッとひらめいた。





疲れてたのが嘘みたいだ。


まあ緊急事態だから私の脳みそちゃんも働いてくれたのかな?






……、でも頼めるって言ってもまだわからない。


一か八か…ってとこだ。







そうこう考えている間にある部屋の前に立ち止まる。イギリス風のデザインのドアに拳をあて軽くトントンと叩く。




部屋の中から「はい」とテノールボイスのいい声がドアの向こう側から聞こえてきた。






「あたし」




ただそう一言だけ言うと足音が近づいてきてガチャリとドアを開け、








「珍しいな、リコが来るなんて」




と笑顔で私を迎えてくれる人。





「まぁね…、たまにはいいでしょ?可愛い妹がわざわざ来てあげたんだから。喜んでほしいわ―――――涼兄。」






頼れる人。







もう1人の兄―――涼兄だ。






「久しぶりなのに…、あんま変わってないな。全体的にも」


と体を上から下まで見る。



「喧嘩うってんの?」







顔も良くて頭もいいが、少し非常識なのが最大の欠点だ。