「別に殴ることないじゃん。」



運ばれてきたAランチのハンバーグを口に入れながら、視線だけ小百合に向けて言った。



「あんたがちっともメニューを選ばないからでしょっ」



まったく、と言いながらフォークをくるくる回してパスタを絡ませた。



そ、そりゃ〜私が悪いけどさ…




不貞腐れながらも小百合にもう一度視線を戻すと綺麗な指で優雅に食べていた。



小百合は昔から仲が良くて、言うならば腐れ縁だ。


何でも話し合うし、喧嘩もする。



小百合は、小柄で顔も小さい。守ってあげたくなるタイプだ。



おまけに美人で、家柄も良い方。誰もが羨ましく思うほどに。



まぁ、私の家はそのさらに上。お互い苦労してるわけよ…。