優しい涙

A7が土まみれの指先で僕の頬をぐいっとこすった。


「ナカナイデ、ナカナイデ」

A7の電子的な響きの声に僕は、我を忘れて泣き崩れた。

「い、一度でいいから…藤波様の役に…立ってみたかった…!」

僕の背中をA7が「ヨシヨシ」と機械らしい一定のリズムでなで続ける。


「そのまま動くな!」

数人の男が近づいてきた。

遠くの方で屋敷の人達がかたずを飲んでいる。


僕は喉に力を込め、出せる限りの声を張り上げた。


「お願いです!

どうかA7を壊さないで!

僕だけ…!

僕だけを壊して下さい!!」