優しい涙

一度だけ、サイレンの音を聞いたことがある。


隣町で火事が起きた時、町全体にこの嫌な音が鳴り響いた。


僕は怖くて、今のA7とほぼ同じ行動を起こした。


そばにいた藤波様が『心配ない』と僕を近くに呼び寄せた。


『これはサイレンと言って、緊急事態を知らせる音だよ』


そして安心するまでそばにいてくれた。




緊急事態……

それが、今この場において、僕らを指していることは、明らかだった。