優しい涙

警備員がドスのきいた太い声を張り上げた。


近づいてきた警備員は僕達から数メートル離れた場所で動きを止めた。


僕らを警戒しているらしい。


「アンドロイドか?何をしている!すみやかに登録名と理由を答えろ!」


警備員は、からみ合ったままの僕とA7を一体のアンドロイドと思い込んだらしい。


チャンスは今しかない。


A7のメインスイッチを切って僕だけ名乗れば、全部ひとりでしたことになる。


僕はA7の背中に回った腕を、必死に動かしA7の首元にあるメインスイッチに手を伸ばそうとした。


しかしA7のしめつける力が尋常な強さでないことと、忘れていた恐怖心が一気によみがえり、なかなか思うように体が動かない。