優しい涙


僕は、自分が読み散らかした本を書庫へ戻し、藤波様の部屋を見渡した。


この部屋に軟禁されたのは罰のはずだったけれど、僕にとっては、この上ない幸せだった。

こんなに藤波様の近くにいれたんだから。

こんな奇跡はきっともう二度とない。


僕にとっては最後の贅沢だ。


僕は藤波様の深い寝息を確認してから、そっと部屋を抜け出した。