優しい涙

それとも、いっそのこと、ずっとここに閉じ込められていればいいのに。


そしたら、この屋敷にいれる。


聴覚を最大限にいかせば、藤波様の声やA7の草をむしる音が聞こえるかもしれない。


自分勝手な期待がどんどん膨らみ、悲しくて、哀れで。


それなのに口元には、渇いた笑いが込み上げてくる。


こんな時って…


不思議に泣けないものなんだなぁ…



暗闇で一点を見続けていると、この屋敷にきて間もない頃の記憶が鮮明に映像化されていく。