優しい涙

藤波様の唐突な質問に、僕の体は一瞬で感覚をなくした。



「何でもいいんだ。別にこの屋敷でというわけでもない。

外へ出てもっと見たいものがあるなら、それでもかまわない」

「………」


僕は完全に言葉を失っていた。


半開きのまぬけな口から、渇いた息だけがもれる。


唇はカサカサに乾き、早まる呼吸で頭がくらくらする。


無意識に震える体を隠そうとこぶしを強く握ったが、恐怖で全身が崩れ落ちそうだ。



ーーーーついに、


ーーこの時がきた…