優しい涙

藤波様の言葉を頭の中で繰り返し、A7を思い描いてみた。


藤波様に雑巾しぼりを教えられ、ぎこちなく練習しているA7の姿が浮かんだ。


「お待たせしました。僕を呼びましたか?」


呼ばれた場所では、屋敷の人が数人で、石像を動かそうとしていた。


「あー、ユイくん、きたきた。これ動かしたいんだけど人手がたりなくて。ちょっと手伝ってくれる?」


「はい、お手伝いします」


僕は石像に手をかけ、持ち上げた。

「うわっ。軽い!」

誰かが言った言葉に自然と笑みがこぼれる。


「ユイくん、ありがとね」

「助かったよ」

「悪かったな。A7、待ってるんじゃないか?」


「はい!」

僕は勢いよくきびすを返し、その場をあとにした。