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「満姫、久しいな」
「そうですね、遠葉(トウヨウ)様」
白蓮家当主である白蓮 遠葉様は私の父のような存在だった。
私は生まれてすぐに父と母を亡くし、時初や炎正、平雅や爺様、白雪とは家族のように育った。
彼等もまた、色んな理由で家族を失っていたから…
生まれた瞬間から天姫となった私を支えてくれた一人だ。
「遠葉様には感謝してもしきれません。出来るなら、もっと恩を返したかったです」
「…満姫……」
もうそれも出来ないなんて…
「満姫、私はお前を娘のように愛しておった。その心に偽りはなくとも、私はお前を送り出さなくてはならん」
「はい、承知しております」
それが私の使命だもの。
今になってやっと受け入れられるようになった。
「世の礎となり、火鬼を封印せよ。この地に千年の安泰をもたらせ」
「…天姫の名を冠する者として誓います」
深々と頭を下げる。
「我が命、世に捧げ必ずや…」
誓いと楔。
私はもう運命の中でしか生きない。
「…一人で行くのか、満姫?」
「はい。彼等は私の運命に縛られる必要はありませんから…」
巻き込みたくない。
彼等が死んだら、私が何の為に死ぬのか分からなくなる。
「どうか秘密に、静かに旅立たせて下さい。私の最後の願いです」
「…心得た。武運を…」
遠葉様は今にも泣きそうだった。
あぁ………
遠葉様が一番辛いのだ。
残酷な言葉を告げなければならないこの方が一番…


