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都を離れ、私達は島へとたどり着いた。
逃げて逃げて、やっとの思いでたどり着いたのはこの何もない平地。
それでも戦火からは逃れる事が出来た。
沖に出たのは正解だったと思う。
ここで新しく始めよう。
生きてさえいれば、何度だってやり直せるのだから…
「姫」
不意に呼ばれ振り返ると、そこには平雅がいた。
月の光に照らされた平雅はいつもより穿かなく見えた。
無理をさせてるのね…
「平雅、どうかしたの?」
「天皇や政の関係者から使者が来ていますよ」
都のお偉い様達が…
「とりあえずは母屋へとご案内しました」
「ありがとう、すぐに行くわ」
そう言って踵を返し、数歩進んでも、平雅はついて来ない。
おかしいと思い振り返ると、平雅は真剣な瞳で私を見ていた。
「…姫…。辛いのなら無理に会わなくともいいのでは?」
平雅の言葉に私は首を傾げる。
「何?私は疲れてなんていないわ」
「なら何故、そのように目の下に隈を作られているのですか?」
隈………?
こんな宵闇で見えるものかしら?
「月が影を作ったんだわ。きっと平雅の見間違いよ」
そう笑ってみせれば、平雅は寂しそうに笑う。


