「まったく…騒がしいのう」
長い白髭を指で撫でながら、爺様、広重(ヒロシゲ)がため息をつく。
爺様は前天姫の護衛だった人だ。現役を離れ、政のお役目についた方。
もう60近いというのに、鉈の名手だとか。
「だそうだ!お前達静かにしろよ!!」
と、爺様に続いて言葉を発したのは爺様の鉈捌きに心奪われ、弟子入りした私より一つ下の炎正(エンセイ)。
「炎正、お前も言うようになったな!」
ガシガシッと時初が炎正の頭を撫でる。
「触んな!!この剣馬鹿!!」
ちなみに剣馬鹿というのは剣の事となると周りが見えなくなるほどの剣好き、という意味合いがある。
もちろん時初の事だ。
愛刀、風斬(カゼギリ)は時初にとって恋人のようなものらしい。
そんな事を言ってるから、剣馬鹿と言われているのだろう。


