―……………「満姫!」
「!!!!」
突然名を呼ばれ、あたし…私はハッと我に返る。
目を開ければ、そこには見た事がない草原が広がっていた。
―ヒ、ヒィィィンッ
馬の鳴き声がすぐそばでする。
そう、私達はどこかへ向かう途中だった。
「満姫、顔色が悪いな」
そう言って私の顔をのぞき込んだのは、護衛の時初(トキソメ)。
私より7才年上、24の桃遠 時初(トウエン トキソメ)だ。
「時初、顔が近いわ」
近すぎるその距離に照れながらも平然を装う。
「お、照れてるのか!」
ははっと笑い、まるで妹を可愛がるかのように私の頭をくしゃっと撫でた。
「時初!いつも言ってるけれど、私はもう17だわ。子供扱いしないで!」
私は時初を一人の男性として見ているというのに…
これでは想いも報われない。
「俺から見れば子供なんだよ。照れてくれるな」
太陽の花が咲き誇るかのように眩しい笑みを浮かべる時初を、私は好いてる。
兄妹以上には見てくれないけれど…
天姫といえど、封印は効力を失っていないし、鬼もまれに出てくるくらいで比較的平和だ。
このまま平和であればいい…。
どうか…恐ろしい事になりませんように…
祈らずにはいられない。


