―――――――――――
―――――――――
―――――――
島の長、白蓮家百二代目当主、白蓮 草助の屋敷。
「草助様、ご無沙汰しております」
深く深く床に額をつけ頭を下げる。
草助様に会うのは数ヶ月ぶりだ。
「戻ったか…美琴」
その威厳のある声にあたしは一歩も動けなかった。
さすがは草助様。
一人でこの島を治めていただけある。
「面を上げよ、美琴。私に話しがあるのでだろう?」
「は、はい!」
その威圧に負けないように顔を上げると、草助様の威厳の瞳とぶつかる。
「火鬼の封印が解けかけています。私はここに、戦いへ赴く決意を報告しに参りました」
威厳のあるその瞳から目を逸らさず告げた。
「そうか…もう解けはじめたか…。迷いはないか?」
草助様の瞳が少し悲しみを帯びた気がした。
草助様………?
「いや、違うな。私にそんな事を聞く資格など…」
草助様は俯きあたしに背を向けてしまった。
草助様…あなたは……
「あたしは大丈夫です」
「美琴……」
精一杯の笑みを浮かべ、草助様を見つめる。
「草助様が、心を鬼にして島の人間を、世界の人間を守ろうとしてるのを知ってます」
そう…誰も悪くない。
こんな世界にした鬼が悪いんだ。
いや………
分かり合おうとしなかった人が悪いのか…
「だから私も、草助様の判断に間違いはないと信じて戦ってこれた…。だから、後悔はありません」
たとえ、愛してもいない誰かに体を許しても、愛する人と生き別れても…
結果、あの人が生きる世界を守れるなら…
「後悔などしません」
決意が揺らがないように、あたしはそう言い切る。


