碧眼の天姫―刀の後継者



――――――――――
―――――――
――――


「何だろう…嫌な予感がする…」


最近この地の気が淀んでいる気がする。


『目覚めが近い。封印が壊れるのも時間の問題だろう』


「天鬼…。あんたが言うなら本当なんだね…」


あの…至上最悪の鬼、火鬼が目覚める…


『美琴、島の人間はどうする?』


そうだ…
火鬼が目覚めれば沢山の人間が死ぬ。


なら………



「白蓮様の所へ行こう。それから一度天宮家に帰る」


もう逃げていられない。
あたし一人じゃ守りきれないものがあるから…



「あれに何も言わずに行くのか?」


………千年………


傍にいると言った。
もうどこにも行かないとも…


でも………


「傷つけるってわかってる。でも…」


家に帰るって事は、あたしの子孫を残す為に体を差し出すという事。


本当に最後だ……
これであたしの役目は火鬼と戦うだけ。


「行こう天鬼………」


あたしは刀を手にベランダへと出る。


振り向いて千年の部屋を見渡した。


短い間だったけど二人で過ごした思い出の場所。


想いはここに残ってる。



千年…ごめん…
今日、あたしが好きなもの作るって言ってくれたのに…



「千年のハンバーグ、食べたかったよ」


そう言ってあたしは笑う。笑ってるのに泣いてた。


「千年…幸せに…」


―タンッ


これ以上決意が揺らがないようにあたしはベランダを飛び出した。