『ふふっ…あなた自身なのに恐いの?』


体がガタガタと震え始める。

嫌だ…恐い………



『ねぇ美琴?氷鬼を殺した時、どんな気持ちだった?』


「何…言って………」



殺した時?
そんなの…何も考えて無い。


あたしはただ………


『守りたい…そんな正義感を振りかざしていたけれど、本当は何を考えてた?』


不気味なくらいに笑いあたしを見つめる。



『肉を切り裂く感触、血の滴る臭い……
全てが心地好いと思わなかった?』


「っ!!!?」


そんな分けない。そう否定したいのに否定出来ない。



心地好い…
そう感じたのに思い当たる節があったから。


母様を殺されたあの日から自分が時々分からなくなる時がある。


鬼を斬り裂く時、確かに何か喜びのようなものを感じた。



血の臭いが…甘い蜜のように思えた。


それをあたしは……


『貪りたいと思った?』

「っ!!!!」


鏡の中のあたしは「図星ね」とクスクス笑う。