「母…様…………」
心にぽっかり穴が空いたようにただ一点を見つめたまま座り込んだ。
―ザザー…
潮が満ちたのか、波があたしの下半身を濡らす。
冷たいなんて感覚も既に消えていた。
全てがあたしの中から消えてしまった。
月明かりだけがあたしを唯一照らしてくれていた。
涙だけが流れている。
枯れる事無く…ずっと…
―ザッ…ザッ…
そんなあたしの耳に、砂を踏む音が聞こえて来た。
刀を握る気力すら無いあたしは振り返る事無く座り込んでいる。
―ザッ…ザッ…………
その足音はあたしの後ろでピッタリと止んだ。
殺されても良い……
失ったあたしに…命なんて惜しくも無い…
そう思っていたあたしの耳に入ったのは、この世でもう一人の守りたい人の声だった。
「天宮…さん………?」
その声にあたしはゆっくりと振り返る。
あたしの虚ろな瞳を見た千年は息を呑んだ。
死んだような絶望した瞳。
何かを諦めたような…虚無の瞳だった。


