「…あの得体の知れない研究者達を信じるのか?」
壺音は信じられないと言わんばかりに軽薄するような眼差しを草助へと向けた。
…研究者………?
二人は一体何の話をしているのでしょう…
「彼等は新たな生命体を作り上げる事に異常な執着を見せている。彼等の科学技術があれば生き返らせる事など…」
「造作も無い…と…?」
草助の言葉に壺音は付け加えた。
「…信じられない……我等は道具では無い…同じ人だぞ?自分の可愛い孫娘を何故…切り刻める?」
その言葉は、先代天姫としての言葉では無く、孫を心配する叔母の言葉だった。
「なら世界を見捨てるのか?」
草助の言葉に壺音は黙り込んだ。
孫娘一人と何千、何万という人が住まう世界…
どちらを犠牲にするか…
天秤にかけなくても答えは気まっていた。
「静の子作りを待っていては時が足りない。どんなリスクを侵してでも…」
草助の一言で壺音は無言で頷いた。
「…承る」
壺音叔母様の言葉が信じられず、私は勢い良く襖を開け放った。
―スタンッ
「叔母様!!!!」
失礼をかえりみずにドカドカと部屋へと入る。
「美琴を…美琴をこれ以上苦しめないで下さい!!」
私の突然の登場に叔母様も草助さんも目を見開いている。
「やっと…全てから解放されて…眠りについたのです!!
これ以上…あの子に血を流させないで!!」
怒りにも似た悲しみが涙となってこぼれ落ちる。
「静………」
「私が傷付くならいい…でも、あの子が傷付くのは許せません!!
私の大切な…子なのです…」
―ドサッ
そのまま泣き崩れる。
そんな私の背中を、叔母様は無言でさするだけだった。


