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「そろそろ風が冷たくなってきましたね」
そう言ったあたしの肩に母様は上着を被せた。
「それでは母様が風邪をひいてしまいます!」
上着を返そうとすると母様は首を横に振った。
「着ていなさい」
優しい笑みを浮かべて母様はあたしを見る。
もうこんな笑顔を見られないと思っていたのに…
「母様…」
母様が好きで大切で…
堪らないって事…どうやったら伝えきれるんだろう…
「帰りましょう…美琴…」
母様は優しくあたしに手を
差し延べる。
迷わずにその手をとる。
温かくて優しい…小さな手…
繋いでみて気付く。
あたしの手は…血で濡れてる汚い手…
美しい母様に触れて母様を怪我したくない…
それでも…最後で良い…
最後でも良いから…
母様の温もりを感じたい…


