「美琴…私は美琴に幸せになって欲しい…それが何よりの願いです。
どうか…どんな未来があなたを待っていようと負けないで…」
母様の言葉にあたしは頷く。母様はあたしが過去を取り戻す事を恐れてる。
あたしが傷付くのを分かっているから…
そんな優しさが嬉しくて堪らない…
「大丈夫だよ…母様…。
守りたいものがあたしには沢山あるみたいだから…」
未来を恐れて真実から目を逸らす事も、戦いを拒んで刀を捨てる事もあたしには出来ない…
「もう…覚悟は出来てる」
そう言って笑うあたしを母様は心配そうに見つめる。
「美琴………。
あたしは時より、あなたが消えてしまいそうで恐いわ…」
母様はあたしを優しく抱きしめた。
母様の匂いがする…
優しくて…落ち着く……
「大丈夫です…母様…。
どんなに離れても私の心の一つは母様の傍に置いて逝きます」
心だけは…母様の傍に…
「美琴…あなたが消えるなんて…考えたくもありません…」
涙声で呟いた母様をあたしも抱きしめ返した。
小さくて細い母様の体…
優しくて脆い母様の心…
あたしが守りたいモノ…
秋の渇いた潮風に吹かれながら、しばらく抱きしめ合っていた。


