―カツン、カツン…


前から誰かが歩いて来る。顔を上げると……


「気分が悪いのか?」


深い青の髪と瞳。
水鬼ちゃんと瓜二つの男の子が立っていた。


「…あなたは………?」


―ズキンッ


「…っ…頭が……痛い…」


本当に割れそうだ…


『……天姫…
この世は醜いと思わないか?』


………え……?


『それを待っていては我らの生きる地は滅んでしまう…
壊れ行く世界を黙って見ていろというのか!?』


声…また声が聞こえた…
誰の声……?



「お前…顔色が悪い。
保健室へ行くといい…」


そのまま背中を向ける男の子の背中をただ見つめる。


この人…この人とどこかで…
そう…この人はあたしを…


「…氷鬼」


―殺した…



男の子は驚いたように振り返る。


「何故…俺の名を……?」


何故…何故って………


「分からない…自分でも…分からない…」



学校に来てから頭痛が止まらない。
どうして…………