Distance of LOVE☆

まだ朝日が昇らないうちに、そっとベッドから抜け出して、
彼女を起こさないように、そっとキャリーバッグに荷物を詰めていく。


悠月は…すでにキャリーバッグの用意も出来ている。
分かっているんだろう…自分の身体の状態が。

僕に迷惑をかけまいと…いろいろやってくれている。

ふと…ゆづの鞄からはみ出ているものが。


母子手帳かと思ったが…普通の手帳だった。

だけど。


手帳のメモ欄に…何か文字が。


「和へ。

指揮振っている和、すっごく素敵でした。
オーケストラの皆も、ちゃんと全体のハーモニーを意識して音を出していて。
きっと…和の指揮が上手いからだね。
素敵なピアノも…ギターも…ありがとう。
お腹の子もね、演奏してるときはとっても静かなんだよ。
演奏が終わった後に、"ちゃんと聴いてたよ"っていうかのように、お腹を蹴ってくるの。
きっと、私や和に似て、音楽好きないい子に育つって…信じてるの。
今からこんなこと言うと、和に笑われちゃうかな。
…"親バカだね。"とか言われて。
でもね、仕方ないの。
それだけ可愛いから。

素敵な唄も…ありがとう。
それから…不安だったの。和…ずっとウィーンにいるのかなって。
ビックリした。
皆の前での、あの宣言。

「ウィーンには、しばらく戻りません!!」


って。

変わらないね。…和は。

いつもいつも、私のことを一番に考えてくれて。
だからなのかな。アルプスさんとか、皆に愛されて。あの宣言したあと…皆から拍手喝采浴びてたよね。
それくらい…皆が和のファンだし…プロとして認められてるってことだよね。
でも…これだけは覚えておいてほしいんだ。
和のファン第1号は私だし…
皆に愛されてる和から愛してもらってるときの私が…一番幸せ、ってこと。

お腹のこの子がいるのも…和に出会えたおかげだし。
これからも…いっぱい迷惑かけるけど…
和には…甘えさせてほしいなって。
母親になっても…愛してね?

悠月