院長さんらしき女性から､エコー写真を渡された。


まだ赤ちゃんが少しだけ…動いていた頃のもの。

こんな小さい身体で…一生懸命生きようとしてくれたんだね…

産んであげられなくて…ごめんね…？

"2012/7.14"
と書かれてあった。

出産予定日…この日だったのかな。


こんなことを思っている間に…息を荒げたオーナーのお父さん…

宝月蓮太郎さんって…言ったっけ？

が入ってきた。


｢ﾊｱｯ…大変だっ…
君を…奈留ちゃんを殴った男が…自殺したっ…｣


｢えっ…｣


｢そんなっ…｣


雅志まで、納得のいかない顔でうつむく。


｢どうやら彼は、自分自身に保険金をかけていたみたいね。
…それによっておりたお金を、貴女に何かあった場合に使うつもりだった…
そんなカンジじゃないかしら。
バカの考えることなんてたかが知れているわ。｣


｢メイ。
仕事が早いのは認めるが…その毒舌、やめたらどうだ？｣


｢ふふ。
…それは謝罪するわ。
でも、すぐに察しがつくような方法しか思い付かない人にはあの言葉が適していると思ったから素直にそう言ったまでよ。
あ、申し遅れました。
彩の母の､宝月 冥です。｣


自殺した…ってことは…私を殴った男を…罪に問えなくなるのかな…


謝罪の言葉…聞けないのかな…

そんなの…嫌だよぉっ…

そう考えると、また涙が溢れてきた。

それに気付いた雅志が、そっと私の肩を抱いてくれた。