ん…

ここ、どこ?

ああ、確か、今はオーストリアにいるんだっけ。


「しかし…彩さま…」


『私のことはどうでもいいわ。
貴方たちが気にかけなくとも、自分で何とかするわよ。
早く帰って来なさいな。』


「それは無理。
姉さんのためなんだから。ね?」


『気をつけなさいよ?
麗眞、相沢さん。
オーストリアも、日本ほど治安は良くないからね。』


朝風呂の帰りに偶然耳にした会話。
話の内容と口調からして…あのお嬢様か。

ったく…
自分だけではどうしようも出来ないからこそ、僕たちが動いてるんでしょ?


そんなことを考えていると、ふと悠香が気になった。


あのチャイルドマインダーの部屋に行ってみたが、もぬけの殻だった。

部屋が荒らされている。

どういうことだ?


とりあえず、部屋にいる麗眞くんと相沢さんに事の次第を伝えた。


「………それ、本当だな?」


「この期に及んで嘘言うかよ…」


「皆、このホテル周辺の監視カメラをハッキングして画像を押さえろ。」

「了解いたしました。
麗眞坊っちゃま。」


「麗眞坊っちゃま。
監視カメラの映像を割り出しましたら、ベロナード家の御曹司のお姿を確認いたしました!」

「やっぱり…な。」


「ベロナード家…って?」


「ん?
姉さんとの政略結婚を考えている財閥。」



ああ、そういうことか…