「眠いっ。」

つい、出そうになる欠伸を噛み殺しながら言った。


「ふふ。
お休みになっていただいて大丈夫でございますよ。」


「あ、部屋、37 階にあるスイートルームだから。」


「ありがとう。
って、37階?」


今、さらりと37階って言ったよね?

お坊ちゃまって、スゴイな…


とりあえず、言われた部屋に行ってみた。
グランドピアノに、ところどころ、金箔が使われていた。

「すごっ!」

「和、なんか弾いてよ!」


「ゆづ?
僕、眠いんだけど…」

「曲の前奏くらいでいいから!」


ゆづの頼みなら、断れない。

1曲だけ、弾いてあげた。

演奏を終えると、ゆづは眠ってしまっていた。


「僕のピアノ、子守唄ですか…」


ソファーの上での無防備な寝顔が可愛くて、つい笑みがこぼれる。

僕のジャケットをゆづの身体に掛けてやった。