出逢ったのは必然

運命なんてもの、あたしは信じない



*ちなみ視点*



「ありがとうございましたー」


コンビニ店員がマニュアル通りの挨拶をするのに耳を傾けつつ、あたしは暗闇に身を委ねた。

結局買った物は牛乳とペットボトルの飲み物とコンビニ新商品で出てたイチゴミルクゼリーの3つだけ。

人工的な風のお陰で涼しさを保つのを良いことに、30分以上長居したというのに、買い上げた物が3つなのは申し訳ないが、必要な物の他、食べたいと思った物が迷った末にそれしか見つからなかったのだから仕方ない。

コンビニから歩いて1,2分経っただけだというのにも関わらず、じんわりと汗が滲むのが感じられた。


「帰ったらまたシャワー浴び直さなくちゃいけないかなぁ・・・」


はぁ、

溜息を吐きながら歩みを進めていれば、来るときには無かった黒い塊が街灯の下にポツリと、あった。

気味が悪いと思いながら、それに近づいた。


「・・・・・・・・・人?」

段々と近づく内に、それは蹲っている人だった。

見たところ、怪我はなさそうだった。

只の酔っぱらいだろうと思い、あたしは足をその場から動かそうとした。




が。





「ねぇ」

「っわ!」


行きなり声を掛けられ、肩が跳ね上がるのを隠せなかった。

恐る恐る振り向いた先には、街灯の下にいた塊が顔を覗かせていた。


「人が具合悪そうにしてるのに、"大丈夫ですか?"の一言は言えないのかよ」

「だ、だいじょぶですか・・・」

「遅いっつの。つかだいじょぶじゃねぇし・・・」

「は、はぁ・・・、じゃ・・あたしはこれで・・・」


猫のように吊り上がった空色の瞳が、不機嫌そうに細められ、あたしの顔を見つめている。

立ち上がったその人は、ズボンに付いていた塵をほろい、またその瞳にあたしを捕らえる。

あたしはその瞳に耐えられなくなり、ジリジリと後退しながら、家の方へと向き直る。