その傍らで、涙を流すことも忘れた、

只其処に"居る"というちなみの青白いかも、覚えている。





あの頃をさかえに、ちなみは笑顔を失った。

自分の中では、人間関係が面倒だという理由で偽りの笑顔を浮かべているのであろうが。

何年も傍にいた俺には、解っていた。


ちなみの笑顔が失われた、本当の理由を。

ちなみ自身、気付いていない部分を。


出来ればそれを乗り越え、俺がちなみの笑顔を取り戻したい。


でもそれは俺に出来ることなのだろうか?

俺以外に、成し遂げられる人物が居るのではないだろうか?


そう、

例えば、遠縁の彼奴とか。


俺はそればかりを気にして、嫉妬して。

ちなみの心を忘れていた。